たわーりんぐいんふぇるの

炎のように、蝶のようにのたわーりんぐいんふぇるののレビュー・感想・評価

炎のように、蝶のように(2009年製作の映画)
3.8
朝鮮王朝最後の王、高宗の妃、明成皇后と、彼女を愛した1人の護衛武士ムミョンとの悲しい愛の物語です。
明成皇后とは、西洋文化が入り込んできた時代、列強各国の勢力争いの時代の中、夫である国王には愛されず、義父とも政治的に対立し、悲劇的な死に至った皇后。
日本では「閔妃」と言うが、これは「閔家から嫁いできた妃」という意味で、殺害した当時の日本メディアが好んで使った蔑称。
明成皇后について、内藤千珠子の著書『帝国と暗殺』では、日本のメディアが彼女に対して負のイメージを作り出したことが明らかにされている。そのため、韓国でも明成皇后に対する評価は分かれている。
このサイトでは韓国ドラマ「緑豆の花」で知った人も多いのではないか。

映画の話に戻すと、懐かしい俳優さん、全員が若い。
内容は全体的にいってラブロマンスで、明成皇后の描き方が軽すぎる。
ひょんなきっかけで知り合った明成皇后とムミョン。
結局はムミョンの一方的な片思いなんだが、何がなんでも護衛武士と王妃のキスシーンで王妃も受け入れ相思相愛になりラブロマンスとして成立する。
最後は日本人に殺害されるが、なぜ殺害されるに至ったのか、誰の指示で殺害されたのか、殺害後どうなったかはもっと掘り下げても良かったと思うが、ラブがメインなので仕方ないか。

時代背景を簡単に言うと、日清戦争後、ロシアは日本の中国進出を恐れ、朝鮮に接近。この時、朝鮮側で権力を得たのが、反日派の明成皇后だった。1895年10月、山口県萩出身の三浦梧楼公使(陸軍中将)を首謀者とする一団(多くが熊本県民)が景福宮に乱入し、目障りな存在であった明成皇后の殺害に及び、死体をガソリンで燃やし庭に埋めた。
この事件は、日露戦争への序曲となり、明成皇后の死後、朝鮮王朝は消滅し、大韓帝国が成立する。

実は、「閔妃を刺し殺した刀」と言われる肥前刀が福岡市にある。
博多祇園山笠で知られる櫛田神社が保管していて、殺害に関わった日本人が奉納したもの。
この事件は、「外国の要人を暗殺した軍人たちが裁かれなかったという前例ができた」わけで、この事件にかかわらず日本人は知らないでは済まされないと思う。