larabee

将軍たちの夜のlarabeeのレビュー・感想・評価

将軍たちの夜(1967年製作の映画)
4.5
第二次世界大戦下のドイツ軍を舞台に、三人の将軍たちがそれぞれの思惑で、自分が思う大義で動く。そこに周りの兵士やその家族が絡み、世の中の動きにも翻弄され、各々の価値観がぶつかりながら物語は進んでいく。

戦争中で数多くの人が殺されているが、そんな中、戦争とは関係なくひとりの娼婦の猟奇殺人事件が発生する。娼婦の遺体には無数の刺し傷があり、犯人は完全に異常な精神の人物。目撃情報によれば将軍の誰かが関わっている可能性が高く、情報部の兵士が三人の将軍たちの捜査に乗り出していく。そんな中、別の娼婦に対して同じ手口の犯行が続き…。

30年以上前に観た映画で、テイストだけ覚えていて、いつかレンタルしようと考えていたところ、この度めでたくアマプラで視聴出来る事となった。長さも感じず、ストーリーもしっかり入ってきて、見応え充分であった。

戦争という極限状態で正常を保つ為には相当なストレスが加わり、地位や名誉もある将軍であればあるほどストレスは大きくそれが異常な形となって現れる。そして抑えきれず顕在化してしまう。

普段は冷静沈着、非情で隙のない将軍タンツを演じたピーター・オトゥールの演技が素晴らしい。ストーリーもいいが、彼の熱演か本作の完成度を高めている。

人間としてマトモな神経なら戦争という異常事態で立ち振る舞おうとすればどこかに不具合が生じてしまうのだから、ああなった方がまともな人間なのかもしれない。なんて事すら思ってしまう。
larabee

larabee