イチロヲ

タイム・リミットは午後3時のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
前科者と噂される転入生から因縁を付けられた男子高校生が、不安と恐怖に駆られた学園生活を強いられてしまう。スティーブン・スピルバーグが(ノンクレジットで)製作総指揮を務めている、青春学園コメディ。

本作の主人公は、ヒエラルキー底辺部のルーザーではなく、学園生活を卒なくこなしているギーク(ガリ勉)タイプの高校生。悪ぶることを苦手とする男子が「3時に駐車場でタイマン勝負」を言い渡されたことにより、もう一人の自分を奮い立たせようとする。

焦燥に駆られている主人公目線で学園ドラマが進展するため、良い意味で他の学園ものとの差別化に成功している。強迫観念と誇大妄想により、優等生と劣等生の倒錯状態に落とされていく過程が、ユーモラスに描かれている。

転入生に威圧的なオーラがイマイチ感じられないが、ケンカという行為を目前に控えたときの、奇妙なざわめきがしっかりと伝わってくる。生徒たちによる噂話の波及力も描写されており、学園ならではのカオス状態を体感することができる。
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