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タイム・リミットは午後3時のghostboatのレビュー・感想・評価

5.0
最高。務所帰りの不良に午後3時にボコられることになった男子高校生の冴えない一日を描いた学園コメディで、序盤こそいかにもアメリカ学園コメディ的な陽気さを感じさせるトーンで始まるが、タンジェリン・ドリームが鳴り始めた途端にサスペンスフルなトーンへと変貌しだす。始めは音楽担当がタンジェリン・ドリームと聞いて流石に冷やかしだろうなと半ば小馬鹿にしていましたが、これはもうタンジェリン・ドリーム以外考えられないほど素晴らしい仕事をしていましたね。あのいつもの電子音のリズムをもって、刻一刻と迫ってくる午後3時への焦燥感を見事に表現している。本作の翌年に製作された『ミラクル・マイル』でも同様の使い方をしてますね。

また、時計の秒針や授業終わりのチャイム、理科の授業で上映されるフィルムのカウントリーダーなど、時間に紐づいた音があらゆるところに散りばめられており、観ているこちらに対しても否応なしに時間を意識させてくる。追体験してる錯覚に陥りますね。こうした音への過剰演出がある一方で、音のオフへの切り替えも意図的に行っている。人気がなく静まりかえった廊下の描写なんかは不気味が際立っている。

群衆に囲まれた中での決斗シーンも最高にアガるが、最も感動したのは切り返しで描かれるラストシーン。皆の視線が画面外へとむけられた後に起こる××の強烈さは一生忘れない。ハマ〇チ映画の元ネタですかね。このシーンでもタンジェリン・ドリームがいい仕事してるのにVHS素材のせいか音がハッキリと聴こえないのが残念。

ジョン・ヒューズ スタイルが定着しきったであろう年代の学園コメディなのにカースト描写が少ない(むしろ無なのでは?)のも好感もてました。これからも幾度となく見返すであろうお気に入りの一本になりました。さっそく名門shout factoryから出てるリマスターBD買おうかと思う。
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