EDDIE

バックドラフトのEDDIEのレビュー・感想・評価

バックドラフト(1991年製作の映画)
4.0
兄弟の熱い絆、父親の意思、それ以上にILMを活かした火災現場の特殊効果の迫力が凄まじい!日本人にもお馴染みのハンス・ジマーの音楽もとても良い。

私にとって「バックドラフト」といえば、火薬の匂い立ち込めるUSJのアトラクションか「料理の鉄人」かってところで、実は映画は未鑑賞でした…。
監督は『ビューティフルマインド』や『ダヴィンチコード』シリーズのロン・ハワード。俳優陣はカート・ラッセル、ロバート・デ・ニーロ、ドナルド・サザーランドら名優揃い。カート・ラッセルに至っては一人二役やっています。

主人公はウィリアム・ボールドウィン演じるブライアン・マカフレイ。その兄スティーブンをカート・ラッセルが演じます。一応この2人のダブル主演という立て付けになるのかな。
ブライアンは幼い頃、消防士である父デニスの消火活動についていき、なんと父が目の前で火災に巻き込まれ死亡…。
いや、子供ブライアンの気持ちを想像するだけでもう火を見るだけでもトラウマものだと思うんですよね。だけど、彼は職業が長続きしない中で、遂に消防士としてのキャリアがスタートするんです。
もちろん映画の中では描かれていませんが、この職業を転々とするブライアンという描写自体が彼の幼い頃の父を目の前で亡くした心の傷の深さを表しているんだろうなと思いました。

もしあの時ついて行っていたのが兄のスティーブンだったら…。立場は逆になっていたかもしれません。
そんなスティーブンは消防隊第17小隊のエース。ケンカっ早い性格が災いして昇進は苦労しているようですが、とにかく正義感は人一倍強いです。

本作では謎の連続放火殺人事件が発生します。あまりにも巧妙に仕掛けられた放火現場は果たして誰の仕業なのかというミステリー的要素もあり、大変面白いです。
ブライアンは後にロバート・デ・ニーロ演じるドナルドのもとで放火犯罪調査官として働き始めるのですが、これがきっかけで兄スティーブンとも心と体でぶつかり合うことになります。2人は対立しながらも絆を深め合っていく模様は見ていて心地良いです。だからこそ結末はとても辛い。

カート・ラッセルの一人二役については、父デニスも彼が演じています。最初父親がカート・ラッセルに見えたので、彼らが成長してまたカート・ラッセルが出てきたときは前情報不足でめっちゃ混乱しました。笑

それにしても本作一番の見どころはILMを使った火災シーンの数々。空気に触れると大爆発を起こすバックドラフトの視覚演出はとても迫力があり、現場にいるかのような臨場感。2020年の今観ても十分に凄いと感じられます。
ILMとは“Industrial Light & Magic”の略で、スターウォーズのジョージ・ルーカスが生み出した特殊技術だそうです。つまりは『スターウォーズ』と同じ視覚効果の技術を活用しているわけですね。
一方で、クライマックスの犯人が爆発に巻き込まれてしまうシーンでは、なんとCGは使わずに実際の火災シーンを作って撮影したそう。カート・ラッセル、スコット・グレン、ウィリアム・ボールドウィン、ケヴィン・ケイシーらは危険な火災シーンをスタントマンを使わずに自ら演じることにこだわったとのこと。実は彼らはエンドロールで役者としてだけでなく、スタントマンとしてもクレジットされているんです。

こういった逸話も含めて映画史に残る消防士ものだと思います(消防士ものなんてジャンルがあるかは知りませんが)。是非とも未鑑賞の方はUSJのアトラクションも楽しみつつ、本作もご鑑賞ください。

※2020年自宅鑑賞189本目
EDDIE

EDDIE