ツクヨミ

ドアをノックするのは誰?のツクヨミのレビュー・感想・評価

ドアをノックするのは誰?(1968年製作の映画)
3.8
カサヴェテス的なアメリカインディペンデントさにゴダールとフェリーニ?漂うスコセッシ処女作。
マーティン・スコセッシ監督作品。もう少しで最新作公開みたいなので監督初長編である今作を見てみた。
まずオープニング、いやに緊張を煽るBGMでおばあちゃんのクッキングを見ていく。素早いカッティングとクローズアップの使い方なんかマジで新人監督のやりたい放題感で笑えてくるほど、そしていつの間にやら軽快なDJが"バニシングポイント"みたいにいかにもスコセッシっぽい選曲をかけハーヴェイカイテルたちチンピラがバイオレンスをやり始める、あーめちゃくちゃスコセッシーって叫びたくなりぐらいに最高なスタートだ。
そして本編はザ"ミーンストリート"の前身が如くハーヴェイカイテル扮する主人公が近所の若者たちとたむろしグダグダ遊ぶ感じをまさにカサヴェテス"アメリカの影"っぽく描写。なんだがそこに謎の美女とのシークエンスが時系列わけわかめに絡まり出しさながらフェリーニの"8 1/2"みたいに幻想?と現実がカットバックしていく編集がまた良い感じに面白い。あと美女との会話シークエンスでジョン・ウェインの話になり"捜索者"や"リバティバランスを射った男"の話を延々とする会話なんてゴダールっぽさすら感じる。まあ結局はスコセッシが当時どんな映画作家に影響を受けていたか如実に香ってくる感じがマジで処女作っぽくて堪らないんだなこれが。
また全体的にめちゃくちゃインディペンデントなカメラワークというか上から撮ったり、会話シークエンスで長椅子の後ろからクローズアップとか情事のシークエンスでのいやに近すぎるねちねちしたクローズアップとかほんとにシネフィル少年のやりたい放題感がめちゃくちゃ良い。あとなんといってもチンピラの銃乱射シーンがゴダールの"気狂いピエロ"みたいにハワードホークス"リオブラボー"の切り抜きと合わせてカッティングするところに爆笑してしまう。やっぱスコセッシはめちゃくちゃシネフィルだったんだなー改めて感じた。
まーわりかし複雑怪奇な"8 1/2"みたいな編集しててカサヴェテス調のストーリーなんて関係ない映画なんで脚本とかはわりかしどうでも良いというか、結局はシネフィルスコセッシのやりたい放題感が楽しすぎる作品ていう感じで見るのが一番良い。
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