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ソビブル、1943年10月14日午後4時のkyokoのレビュー・感想・評価

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当時16歳だったイェフダ・レルネル氏が、1943年10月14日にソビブル強制収容所で起こった囚人蜂起・脱走を語るドキュメンタリー。

冒頭は監督自らが読みあげるイントロダクション。正直長い。
ようやくレルネル氏が登場したかと思いきや、字幕は通訳のほうにつけられているため、彼が話している間は彼の表情をじっと見つめるしかない。これがかなりもどかしい。
その顔には、武器を持って闘う習慣を持たなかったユダヤ人としての本質と、ドイツ兵を殺すことの使命感とその名誉に対する喜びが入れ替わり立ち替わり現れていたが、一瞬の表情の変化を逃さなかった監督から「顔が青ざめている」と指摘されたときの、彼の何とも言えない表情が印象的。
ソビブルに送られるまで8回もいろいろな収容所を脱走してきたという。
よく殺されなかったものだと思うが、「どうせ死ぬなら人間として死にたい」その一心が彼をここまで生かしてきたのだろう。

ラストは1942年からの1年半の間に収容所へ移送された人数を、監督自身が読みあげる。恐ろしい数。当然長い。

「ヒトラーと闘った22日間」を鑑賞していたことで、彼の証言の映像化がスムーズにできた。というより、あの計画の描写は事実であったのかと驚く。逆に、映画を観たときにはよく分からなかった蜂起リーダーの赤軍兵士との関わりが、この証言で理解できた。
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