爆裂BOX

ザ・プロジェクトの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ザ・プロジェクト(2011年製作の映画)
3.8
パーティで高校生が集団でロシアン・ルーレットをやり全員死亡する。その後も不可解な自殺が続き、不審に思った刑事が調べると、事件現場にある双子の姿があった事を知り…というストーリー。
超能力を持った双子の凶行をそれを追う刑事を描いたサスペンス・ホラーです。
冒頭のパーティーで飲みながら下ネタ会話してた高校生たちがロシアン・ルーレットで次々自殺するシーンで掴みはOKという感じですね。
美少年双子は他人に幻覚を見せ、操る超能力を持っており、これをつかって他人を自殺に追い込み、それをビデオカメラで撮影するという行為を「実験」と称して行っています。撮った映像見ながら「感じた?」と会話してる事とか、最後の会話見ても「恐怖」とか人間らしい感情をあまり感じずに生きてきてそれを知って実感する為の実験なのかな?この双子のセスとジョナを演じたエドムンドとゲイリーのエンティン兄弟が美少年で不気味さもあってハマってました。「レスト・ストップ」シリーズでもキャンピングカーの狂人一家の不気味な双子役を演じてましたね。最近は俳優ではなく監督業を行ってるようですね。
弟のジョナが転校生の女の子と親しくなり、恋したことから二人の関係に亀裂が入っていきます。徐々に兄から自立していくジョナと、そんな弟に苛立ち、彼女寝取ったりして何とか引き留めようとするセスのドラマは中々見入ってしまいました。
オーランド・ジョーンズ演じる刑事が主人公ではありますが、この人はコメディ演技の印象強かったんで、シリアスな役柄は新鮮でしたね。妻を火事で亡くした過去のトラウマが度々描かれますが、これが終盤の行動の伏線になっていたのは良かったですね。
グロ描写はほぼないですが、幻覚で足からニョロニョロ出る寄生虫気持ち悪いですし、ガラスを血塗れになりながら食べてるシーンは痛々しかったですね。
終盤のtwistは驚きましたね。家を訪ねた刑事の手が黒くなったり伏線はありましたね。両親は実は死んでるかと思いましたが、あの状態で生きてたのか。彼女を殺そうとするセスとそれを止めようとするジョナの戦いはちょっとハラハラしましたね。
「怖い」「僕もだ」とつぶやきながら炎に飲まれるラストはちょっと物悲しかったな。
他者を冷笑するような態度のセスだったけど、弟がいなくなって完全な孤独になるのは耐えられなかったのかな。そう考えると彼にも人間らしい所はあったのか。
派手さはない静かな作品ですが、映像に安っぽさもなく、破滅に向っていく双子のドラマにも引き込まれて楽しめました。