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ベルリンのリュミエールのmanamiのレビュー・感想・評価

ベルリンのリュミエール(1995年製作の映画)
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ヴィムヴェンダース作品鑑賞16作目。どうしてこれがドキュメンタリーにカテゴライズされてるんだろう。確かにインタビュー映像も入るけど、それだけではないし、むしろファンタジーだし、なんならコメディとも言えるくらいよね。
冒頭からしばらく続く、こまっしゃくれた語りがなんとも可愛らしい。姉兄は後半登場するけど、ママは出てこない。小さな女の子たちをおじさん3人で育てるって、『フルハウス』みたいね。過去パートは1920年代のサイレント映画用カメラで撮影されたそうで、映像もエピソードも温かみを感じさせる。
「動く写真」を創りたいスクラダノウスキー兄弟。カンガルーの「中の人」には笑うし、エミールについての「芸術上の自由な創作」も楽しい。オイゲンおじさんへの愛が発明のきっかけになったという逸話はヴェンダース監督らしいけど、どこまで脚色されてるんだろうか。
1895年にビオスコープが発明される、その前後の悲喜こもごも。語り手がやすやすと時代を飛び越え、語っている最中にも違う時間軸が流れ込む通時性は、フィルムに残された映像が何度でも、何年も何十年も変わらぬ姿を見せてくれることを表現しているかのよう。
馬車に乗り込んでからのシーンは構図も場面の切り替えも見事、映像も音楽も美しく、二人の表情もとても生き生きとしていて素晴らしい。このテーマ、この作品ならではのロードムービーになっている。
で、最後にまた疑問。この邦題はいったいどうした?なんで「シネマトグラフ」の方のリュミエール兄弟を選ぶ?訳がわからん。

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