彦次郎

ブラジルから来た少年の彦次郎のレビュー・感想・評価

ブラジルから来た少年(1978年製作の映画)
3.8
世界各国で65歳の公務員達が不審死する事件から浮かび上がる恐るべき計画をナチスハンターが追うSFサスペンス。
まず後から分かるタイトルが秀逸。ただの古臭いサスペンスかと思って見ていると実はSF(少なくとも1978年は)という話の展開が魅力的です。普通なら最初に事件を知らせた青年コーラーが主役になりそうですが老齢ともみえるリーバマンが主役というのも意外です。
ジャケットに映るオッサンが本作のヴィランとも言うべきDr.メレンゲ。実在の人物ながら収容所で人体実験(統合双子とか色々)を繰り返し死神の如く畏怖されナチス壊滅後はキッチリ逃亡し最期までナチハンターに捕まらなかった(海水浴か何かで溺死したらしい)という経歴の主です。壮大な計画と広範な規模の割には組織がショボいのか博士が独善的すぎたのかスケールの小さい終盤。しかし却って博士の冷徹さ、狡猾さが浮立つようになっておりました。日常に不穏なる恐怖が仕込まれた事を暗示させるラストが良かったです。

追記 Wikipediaによるとメレンゲ博士が死んだのは1979年。つまりまだ存命の頃の作品という事に驚きです。まあ文句を言いに出てきたら捕まりますけど…
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