ミシナ

赤死病の仮面のミシナのレビュー・感想・評価

赤死病の仮面(1964年製作の映画)
4.5
原作に別の作品や脚色を交えつつ、雰囲気や映像美も相まってとても良いホラーでした〜
異端審問により多くを拷問した修道士の祖先を持つプロスペロー皇太子は、疫病や戦争など悪なるものに敬虔な信仰者達が食い潰れるこの世に絶望し「悪の下僕になり死を克服すればいい」とサタニズムに傾倒するようになる設定、良いですね。
しかし「死」に主人はなく、全ての者に平等に訪れる。死があるからこそ清く無垢なる信仰心を忘れず、隣人を愛せという神の愛を信じるフランチェスカの生き方は、彼と対極にあります。
ジーノの「人間らしく死ぬ」というセリフもいい…体は救われずとも魂は死後神の国へと行ける。生きているうちの善い行いは魂を救うこととなる。

身勝手に振る舞い他者を踏みにじり饗宴に耽ったプロスペローの魂はとうに死んでいると「死そのもの」が告げる様は芸術的…
いつの世も死への恐怖を乗り越えることは人間にとって最大の難問ですね。常にメメントモリしながら今この時代も生きるしかないのだなぁと思わされました。
ミシナ

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