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SF巨大生物の島のAZのネタバレレビュー・内容・結末

SF巨大生物の島(1961年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ジュール・ヴェルヌの『神秘の島』の映画化作品。南北戦争時代、南軍の捕虜収容所から脱出した主人公一行が気球で流されていき、巨大生物が跋扈する未知の島でサバイバることになる。
特撮をレイ・ハリーハウゼンが担当しており、巨大な生き物と格闘するシーンは見応えがある。

いかがわしさのある特撮サバイバルはそれだけでもう楽しい。北軍の指揮官・若者・黒人、南軍の兵士、従軍記者、イギリス貴族の女性2人。登場人物も不思議とバラエティ豊かになり、しっかりした団結力で思ったほど揉めることもなく生き抜いていく。
彼らは揃いも揃って善人であり、そこそこアホでもある。

「こんなにデカいカキを見たことあるか!?」なんて言って、未知の島で意味不明なサイズのカキを何の警戒心も持たずに食べる。仮面ライダー響鬼みたいなバケガニを、さっきまで殺される寸前だったのに食べる。もう何なのかさっぱり分からないとりあえずデカい鳥も食べる。バカみたいにデカい蜂の巣に大量の蜂蜜があるのを見つけて、大喜びで持ち帰ろうとする……。

絶対にデカい蜂もいるだろ!とか、デカい寄生虫とかもいるだろ!とか思ってとても無警戒に食べたくないのだが、彼らは生きるために細かいことは気にせず喰らうのだ。
ちょうどいい脳天気さがサバイバルには必須能力かもしれない。何で比較的安全そうなヤギはちゃんと巨大化出来てないんだ。

しかし細かいことは気にしない精神はストーリーの語り口にも現れているので、きちんと描写するのがめんどくさそうなシーンはナレーションで何となく進めてしまう。
別にそれはいいのだが、まさかラストまで感動を味わわせる演出もクソもかなぐり捨ててナレーションでサックリ済ませるとは思わなかった。

「我々はネモ船長の偉大な遺志を継ぐことを固く誓った (完)」。

とくにネモ船長の死を確認することもなく、大事な研究成果を持ち帰るでもなく、別段何が出来るでもない気がするけど誓いだけは立てて船出!完!

やっぱり急に出て来た貝殻おじさんだから、皆そんなにネモ船長のこと好きじゃなかったのかもしれないな。
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