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『ゾンビ・スクール1990』に投稿された感想・評価

horahukiの感想・評価

2020/11/07 18:57

3.5

腐敗した価値観としてのゾンビ

11月はゾンビ⑧

どうしようもない不良が数日で模範的生徒へと大変身する金持ちエリート校。そんな怪しいところに入学しちゃダメと止める彼氏の忠告を無視して入学したら、案の定「模範的生徒」にさせられそうになるティーン向けゾンビ映画。

男子校だったエッティンジャー校は今年から共学となったため、主人公のアンドレアは最高峰の教育が受けられるとウキウキ。仲良くなった友人たちはイイ男を探すのが目的みたいだけど、アンドレアはまじめに学ぼうとしてる。でもその割には早速イケメンな教授とイイ感じになるという。彼氏いるのに…。

そんな良くある80年代学園コメディな出だしを見せるも、次第に異変があらわになってくる。友人が突然人が変わったようになり、「こんな学校は嫌いだ」と言って出て行った不良が数日後には超優等生としていつの間にか授業に出席していたり、ダンスパーティでは生徒たちが不自然なほど同じ動きのダンスをしていたり。流石に異変を感じたアンドレアが彼氏と協力して、学校の闇を暴こうとする。

物語はかなり『ステップフォードワイフ』に似ていた。ただ、本作はエリートを特定の思想へと洗脳し国家中枢へと送り込むことで、国全体の価値観を主導しようとするシステムを描いたもので、男性社会の中に女性が入りこむという共通点はありつつもウーマンリブの要素は薄かった。この学校の歴史は先住民迫害の時代ににまで遡り、既に腐敗したものであるにも関わらず、100年以上も存続し続ける時代遅れな価値観を「ゾンビ」として描くのは斬新だと感じた。何とは言わないけど、なかなかタイムリーな話題。

特にスリルもなく既定路線をなぞっていくような物語ながらも、止まった時計、偽りの表面を否定する鏡等のアイテムがテーマを後押しするだけでなく、キーとなるミステリアスなキャラクターの内面や葛藤を肉付けしていく手堅さもあり、評判の割には面白かった。一般的に想像するようなゾンビは出てこないので、ゾンビ映画といって良いのかは微妙なところだけど、邦題にも原題にもゾンビが入っているので、ゾンビ映画なのでしょう。

今日『ホワイトゾンビ』を見直したので、今月のゾンビ映画は8作目。せっかくだから、ゾンビ映画のエポックメイキング的なものも見直していこうと思います。

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