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スリ
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『スリ』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.3
 冒頭、ケイの部屋の窓から文鳥が入り込み、彼は文鳥を粋に窓から再び外へ放つが、ほどなくして戻ってきてしまう。彼はその文鳥に運命を感じ飼い始める。言うまでもなくカゴの中の鳥は、香港を牛耳るマフィアのボスであるフーに自由を奪われたケリー・リンの立場の暗喩であり、来るべき事件の幕開けとなる。その導入部分のかつてない仕上がりの素晴らしさに舌を巻く。ケイはいつもの定食屋で3人の男と待ち合わせしている。彼らは食卓を囲みながら、気の置ける仲間だからこその楽しい食事を繰り広げる。思えばジョニー・トー映画ではこの食卓を囲む場面が、彼らに親愛の情を何度ももたらせてきた。この食卓の場面だけで、4人の友情と粋のあった間柄などの背景はまったく説明を必要としないまま、しっかりと落ち着いている。その後のスリのシーンは、チェン・チュウキョン、トー・フンモの一つの到達点であり、ジョニー・トー映画のハイライトとも言えよう。流れるようなカメラの流麗な動きと細かいショット割りから一転して、一連のスリのシークエンスは長回しで一気に据える。最後のハイ・アングルまで完璧なショット構成にはジョニー・トーの完成された様式美が垣間見えるかのようである。

 これまでのジョニー・トーが描く香港ノワールの特徴として、男同士の立場を超えた友情が過剰に描かれるのとは対照的に、「ファム・ファタールの不在」が極めて濃厚な世界観を形成していた。だが前作となるオムニバス映画『強奪のトライアングル』において、ケリー・リン扮するサンの前妻の友人だったリンは、刑事ウェン(ラム・カートン)と道ならぬ恋に走っていた。このファム・ファタールな女性の設定自体が、ジョニー・トー本人によるものなのか、脚本家であるジャック・ンによるものなのかは定かではないものの、ジョニー・トーがこのケリー・リンの人物造形に今作のヒントを見出したのは間違いない事実であろう。ケリー・リンは当初、スリの4人組の一人一人の前に立ち現れては、彼らを誘惑し、そのお株であるスリ行為を逆に働くことで、自尊心に傷をつけていく。いったい彼女は何者で、どんな目的で自分たちを罠に落とすのか?彼ら4人は次第に事件の核心に足を踏み入れてしまう。エレベーターの天井にふいに現れた3色のバルーン、車の助手席にケイが乗った際に見た紅い口紅のついた煙草、暗室で干されたモノクローム写真。それら細やかなショットが積み重なりながら、ケリー・リンの魔性の側面がふわふわと宙に漂ったまま、ジョニー・トーお得意の屋上から、ヒッチコックのような螺旋階段に至るまで、男たちを上り下りさせるのである。

 まるでミシェル・ルグランのようなJAZZに彩られた軽妙な映画音楽が挙げられるが、そんな我々観客の連想を知ってか知らずか、クライマックスにはまさにジャック・ドゥミとミシェル・ルグランによる『シェルブールの雨傘』を彷彿とさせるような様式美に彩られた素晴らしいシーンがある。この場面はかつて『ターンレフト ターンライト』のオープニングでも変奏をしているが、今作における傘のシーンの緊迫感やスローモーションの美しさはあの映画を遥かに凌ぐ出来だと断言する。黒い傘に全身黒ずくめの男たち、冷たく激しい雨が降る中、男たちの友情と仁義が約束されたスリ同士の奇妙なゲームは、一発の銃弾よりも遥かに美しくタペストリーを形成している。流れるようなカメラワーク、香港の街並みを思い入れたっぷりに切り取ったロケーション、視線の交差、軽妙な脚本、1時間30分以内に収めた職人技に至るまで、久しぶりに完璧なジョニー・トー演出を見た。間違いなく2000年代のジョニー・トーを代表する傑作中の傑作であり、ジョニー・トー作品の中で最もフランス・ヌーヴェルヴァーグと親和性の高い作品である。
はる

はるの感想・評価

5.0
面白いなぁ〜ちょっと感激してしまいました。スリをテーマにこんなに面白い映画撮れるんですか?
主人公は街でスリを働く4人の男。そんな4人の前に謎の美女が現れるところから物語が始まります。
ジョニートー監督の映画を観るのはこれで3本目なんですが、どれもこれもどう言葉で表したらいいか分かんないんですけど独特の雰囲気があるんですよね。このスリもシュールで笑えるんですけど、ノスタルジックでシリアス、なんてジャンル分けしたらいいんでしょう。
全編に渡ってとても軽妙で、ラストに唾を飲む程美しいシーンがあるんですよ。スリをするシーンをここまで美しくカッコよく撮れるのはジョニートー監督しか居ないのでは!雨の中のあのシーンはあまりに素晴らし過ぎて鳥肌が止まりませんでした。
ジョニートー監督作品たくさんあるので、どんどん追っていきたいと思います!
がい

がいの感想・評価

3.0
ん。ん。ん。だいぶイメージしてたのとは別物だったぞ。
コレは毛色が違うぞトー作品。
トー3部作とはまた別の色が混ざり込んでたが基本は変わらず、みたいな。
車が自転車に。
しかしおデブさんは健在で。
監督のお気に入り俳優さんなんだね。私が観たトー監督5作品中100%の確率で出てきてるし。
あと「エグザイル絆」で印象的だった木もチラリと映り。同じ場所なのかな?

そして今作の「笑」色。ちょっと濃厚すぎたかな〜、と。
私好みとしては、ちょいニヤけ程度が良いな、とか。
あと、音楽。似合ってんだか似合ってないんだか判断つかず。
再見致します。。

しかし、終盤。圧倒。コレを望んでました、はい◎

監督がインタビューで
『「シェルブールの雨傘」が好きだったからあの映画のような雰囲気を作品の中に出したかった』
と語ってた。そっちは未見なんだけど、、、ど、どうなの?

完全なるモノクロジョニートー作品が観てみたい気もする。「笑」は控えめで。
そして私も昔、文鳥を飼っていた。懐かしい毛並み。匂いを嗅ぐのが好きだった、文鳥の。

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