えそじま

不安が不安のえそじまのレビュー・感想・評価

不安が不安(1975年製作の映画)
4.1
ごく一般的なはずだった専業主婦が陥る鬱状態を日常に潜む狂気として内側から描くことの警笛。表面的な優しさの背後に冷淡さを持つ夫、我が物顔で家の中を出入りする姑と小姑。そこに居場所も慰めもない。存在の危機に対する漠然とした不安から動揺を隠せなくなったヒロインは、ますます一家の腫れ物となっていき、自己破壊へと階段を降りていく。

「こうした形での"病気"は誰にでも起こりうることだ。自分の人生がひょっとして自分の望むものとは違うと認識し始めた場合や、誰しも人生においては自分のものではない役柄を演じていると分かってしまう場合だ。こうして人は"病気"になる」(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)
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