櫻イミト

不安が不安の櫻イミトのレビュー・感想・評価

不安が不安(1975年製作の映画)
2.5
ファスビンダー監督による「自由の代償」(1976)と同年のテレビ用映画。普通の専業主婦が第2子出産と前後して理由のわからない不安におそわれるようになり、日々症状が悪化していく様子を平易な表現で描く。結局ハッキリとした原因は明示されず、鬱病の診断が出て終幕していく。
とんでもないことが起こるわけでもないのだが心理サスペンス調の演出や音楽を使って映画が進んでいく。原作は鬱病を体験した主婦の手記。人がどのような症状を経て鬱病になっていくかが克明に再現されている。
抽象表現はあるもののアントニオーニ監督作のような実存の危機を表現する作品ではない。監督のフィルモグラフィーの中では毛色が変わっているのでファンであれば観ておく価値はあると思う。
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