Mikiyoshi1986

不安が不安のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

不安が不安(1975年製作の映画)
3.7
現代人の心の病という社会派テーマに深く切り込んだファスビンダー監督の意欲作。

出産や子供の育児に追われ、同じマンションに住む姑と義姉からは執拗に私生活を干渉され、一見優しい夫からも親身になって対話する時間を取り持ってもらえないでいる日々。
その積み重ねが主婦マーゴットの心の安息を奪い、えもいわれぬ精神状態が次第に彼女を蝕んでいく。
募る不安が更に大きな不安を生んでいく悪循環。

本人はおろか、周りの人間にもなかなか気づいてもらえない心の病理。
周囲の無理解が次第にその病状を増長させ、彼女の逃げ場を奪っていく様がとてもリアルでした。
鋭い心理描写や斬新な撮影技巧が本作をより上質なサスペンスドラマに仕上げていると思います。

ファスビンダー監督と愛人関係だった男優アルミン・マイアーの出演シーンを無理矢理用意させたり、バウアーさんの不自然な登場など、所々テンポの悪い演出が気になったので、そこはマイナスポイントということで。
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