猫脳髄

テラービジョンの猫脳髄のレビュー・感想・評価

テラービジョン(1986年製作の映画)
3.3
チャールズ・バンド一味のエンパイア・ピクチャーズ謹製SF・ホラー・コメディ。監督のテッド・ニコラウはテキサス大学映画学科出身で、「悪魔のいけにえ」(1974)のロケ現場で録音を担当したらしい。へぇ。

地球からはるか遠い惑星の清掃工場で光エネルギーに分解されたクリーチャーを、めぐりめぐって地球のご家庭にある衛星テレビアンテナが受信してしまってさあ大変…という筋書きで、戦争キチの祖父と感化された少年、パンクロッカーとつきあう娘に、スワッピングを趣味とする両親というクリーピーな家族とクリーチャーが、屋敷のなかで攻防戦を繰り広げるという趣向。

エンパイア・ピクチャーズの低予算映画の特徴であるクローズドシチュエーション(セット撮影で済む)と、”一体入魂”のクリーチャーの登場というフォーマットが踏襲されている。一方で、描写を濃厚にするためエキセントリックな家族設定にしてみたり、ストーリーが対決だけにとどまらない方向に転調したりと工夫はしている。また、クリーチャーが「捕食した相手の姿に擬態する」のは、明らかに「遊星からの物体X」(1982)からのパクリだろう。

ダレるギリギリのところでストーリーを展開させ、意外なラストに持っていくのはエンパイアの諸作のなかでもうまい方である。「テ~ラ~ヴィ~ジョン♪」と歌うダルそうだがなかなかいいテーマ曲とも相まって、捨てがたい小品となっている。子役のチャド・アレンがいかにもアメリカ風の活発な美少年という風体で印象を残す。
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