horahuki

ギャラクシー・オブ・テラー/恐怖の惑星のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.3
恐怖心に負けるな!!

『エイリアン』をパクって作られたロジャーコーマン製作のSFホラー。

本作には美術監督としてジェームズキャメロンが参加しているのですが、自ら志願して第二班監督になり、無数のウジが蠢く腕を撮影したというから流石のプロ根性に頭が上がらないですわ。しかもその仕事っぷりを見て誘われたのが『殺人魚フライングキラー』という地獄…。とはいえ本作がなければ後のキャメロンがなかったかもと思うと歴史的価値が凄い!さすがコーマン!

連絡が途絶えた宇宙船を調査するために未知の惑星へと降り立った宇宙船クルーたちが、「何か」にひとりずつ消されていくという『エイリアン』と非常に似通った展開。ただ、宇宙に飛び立つことはせず、ゴシックホラーな雰囲気漂う惑星の中で探索を進めるので、どちらかというとバーヴァの『ヴァンパイアの惑星』からの影響を強く感じた。

そもそもシーンを撮影しなかったのか、それとも編集が悪いのかはわからないけど、話をスムーズに進めるにあたって明らかに描写が不足していて、展開に繋がりを感じられないところが散見されるのが気になった。というより、そのせいで何がどうなってるのかサッパリわかんない。

超能力を持ってる乗組員や手裏剣を武器にしてるハゲとか個性豊かな奴らばかりのはずなんだけど、どれも唐突に消費されるだけで、魅力が伝わってこないどころか、個性による記号化もされないので、大勢いるキャラクターを明らかに扱い切れてない。クライマックスあたりでやっと3、4人にキャラが固定されるんだけど、その時点でも「お前誰?」状態。

ポンコツな監督さんなのか?と思いきや、本作の見どころのひとつとなっている巨大芋虫がマウントポジションになって美女の衣服を引っ剥がしレイプするというトンデモなシーンは、もともとただ食われるだけだったものを監督が土壇場で追加したらしい。BDクラーク監督めちゃ有能やんけ!

そんなわけで、ウジ虫ウネウネのジェームズキャメロンと巨大芋虫レイプのBDクラークという常人の思考からズレまくったダブル鬼才のド直球な情熱が結集した大傑作(笑)なので、感性のズレに自信がある方には超オススメ!誰のアイデアかは知らないけど、他にも皮膚ズルムケ死体とか、血をチューチュー吸う蛇みたいなのとかビジュアル的には結構面白い。ロバートイングランドも出てるよ!
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