コーエン兄弟作らしい十分に楽しい作品。ただし全体に軽いテイストでコーエン兄弟独特の重さみたいなものは感じない。
何もない街、何も事件がない街、基本的にはアメリカの田舎のこうした長閑な世界を舞台にすることがコーエン兄弟は多い。最初の警察署のシーン、留置場のドアノブに蜘蛛の巣がはっていて、この牢屋が長いこと使われてないことがわかる。カジノの税収で暮らすこの街は平和で何も起こらないのが前提なのだ。
このカジノの金庫の金をズッコケ泥棒一味が盗み出す計画を立てることがこの映画の筋の基本。金庫から金が盗めるか、そしてそれは最終的にどうなるのか？が観客を惹きつける構造。そこに、一味に家を何も知らずに貸している一人暮らしの老婆が、絡んできて、時々バレそうになったり、面白いエピソードを起こしたりして、ずっと楽しく、ハラハラとみていられる構成になっている。
最終的にはキリスト教的な信仰の深さによるラッキーみたいなことに集約するのだが、この辺もキリスト教ネタが多いコーエン兄弟らしい。
とにかく、トムハンクスの演技がめちゃくちゃうまい。
