爆裂BOX

ザ・カーの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ザ・カー(1977年製作の映画)
4.1
中西部の田舎町に突如現れた黒塗りの大型車は無差別に人を轢き殺していく。保安官は車が超常的な力で無人で動いていることを突き止めるが…というストーリー。
カーホラーを代表する一本ですね。「激突!」と違って車自体がモンスターとして暴れまわるオカルト的な要素もありますが、基本はパニック・アクションホラーですね。
冒頭からサイクリング中のカップルを追い掛け回して橋から突き落とし、フレンチホルン弾くヒッチハイカーの若者轢き殺す暴れっぷり。トンネルから姿現す瞬間も雰囲気タップリですね。甲高く小刻みにならすクラクションも強い印象残します。罵声浴びせたヒッチハイカーを撥ねただけじゃなく何度も轢いたり、ヒロインに罵声浴びせられて怒り狂ったように走り回ったりとキレやすくて執念深い性格も怖い。銃弾で撃たれてもビクともしないタフさとそれを活かした攻撃方法も見応えあります。特に追跡してきたパトカーを自ら横転して叩き潰すシーンは本作一番の見所と言えますね。後半の家の中に飛び込んでぶち抜いていく襲撃方法も豪快。殺人カー登場時に風が吹き荒れたり、神聖な場所である墓地に入れない描写などでその正体を物語っているのも面白い。
中盤のパトカーとのカーチェイスシーンも見応えありましたし、終盤の主人公の乗ったバイクとのカーチェイスシーンも迫力満点で手に汗握らされました。
署長と馴染のDV被害者の女性とのドラマはちょっと尺つかった割には署長が速攻死んで、あの女性も後半出てこなくなってあんまり意味なかったな。逆に殺されそうな感じのキャラのDV旦那のほうが後半活躍するのは面白い。ネイティブアメリカンの保安官助手は車の正体に関わる証言や迷信信じないけど、信心深い保安官助手ルークはその正体に気づく所も面白いですね。
主人公の娘の姉妹の妹役で「ハロウィン」のリンジー演じたカイル・リチャーズがデビューしています。姉役は本当のお姉さんなんですね。
「陸のジョーズ」をコンセプトとして制作されたようですが、似たようなコンセプトで作られた「トレマーズ」と似た点があるのも面白いな。最後に主人公達が崖に立ってギリギリまで引き付ける所とか。
ラストのド派手な大爆発もこの年代の映画って感じで良いです。炎の中に現れる顔は流石にチープさを感じるけど、何とも言えない不穏さも感じます。退治されたというより爆破したことで車から邪悪な者が開放されてもっと大変な事が起こるような…一仕事終えた男達を朝焼けが照らすラストショットは沁みます。
今度は都会での惨劇を想像させるエンドロールの映像も良いですね。実際作ってほしかった。
今見ても十二分に楽しめるカーアクションホラーでした。