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囚われの女のmのレビュー・感想・評価

囚われの女(1968年製作の映画)
3.5
@「服従は甘美な自己放棄だ」

究極の矛盾。愛と欲望を語る上でSMはかかせないのでは?と思った作品。奇しくもSMに魅了というか一度はそんな恋焦がれるようなことをしたいと思ってしまった。

お洒落なジャケットに魅了され、いつか観たいと思っていた作品。圧倒的、おフランスの変態映画です。ですが、そこに現代アートやポップカルチャーへのアンチテーゼや身を焦すような渇望があったりと、私は好みでした。

現代美術家ジルベール(ベルナール・フレッソンさん)の妻ジョゼ(エリザベス・ウィナー さん)は、夫が出品した展示会を訪れる。そこで彼女は、会場のギャラリーを運営する青年スタン(ローラン・テルジェフさん)と出会い、心を奪われてしまう。スタンのアトリエを訪れたジョゼは、倒錯した世界へと足を踏み入れていく。そんなストーリー。

スタンが小さな裸体の人形を服従させるポーズにして遊ぶところからはじまる今作。スタンがSMにハマったキッカケは描かれていないが、性癖というか純粋なアートとして見ているような気が私はした。スタンは女性を縛り上げたり、服従させるようなポーズを取らせ裸体を写真におさめていくスタイルを持つアーティスト。
性癖という観点から見たら、彼は言葉で責めたりするのが好きなように思た。すんなり脱いでくれる女より抵抗されたほうが好み……。そんな女性がジョゼだった。

ジョゼはスタンに徐々に惹かれていくが、それと同時に服従したくない、いや服従したいという矛盾を抱えて日々を過ごしていく。そんな姿が痛い痛しく見えるのに可愛らしくも見える。恋は盲目をより広い観点で見たようなSM的心理。
またスタンも同じように矛盾を抱えていて、SMは面白いなぁと思った。

またストーリーのスパイスでもある現代アート。ジョゼが見る幻覚。リンクした映像に監督が言いたい物言いもなんとなく分かってしまう。現代アートが滑稽に見える作りが好きだ。

SMだけど直接的なシーンはない。強いていうならイチャイチャシーンがある。
スタンがジョゼを愛おしく見つめる写真が良い味出している。

究極の自己矛盾は面白い。
映像も素敵だった。

ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★★☆
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★★★☆(スタン役のローラン・テルジェフさん、変態者って顔つきよかった笑)
メッセージ性 : ★★☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆
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