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囚われの女のBOBのレビュー・感想・評価

囚われの女(1968年製作の映画)
3.5
アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督の遺作。唯一のカラー映画。

現代美術家の妻が、夫が出品する展覧会で出会ったギャラリー経営者に心惹かれ、彼の持つ倒錯的な世界に溺れていく。

「服従は甘美な自己放棄だ」

遺作にして意欲作。"最近流行りの"ポップアートとフリーラヴをコンセプトにした、ヌーベル・バーグ的偏愛ドラマ。いちいち"画になる"映像と世界観も、倒錯的な愛の物語も興味深かった。ヌーベル・バーグ(ゴダール?)作品特有の難解さみたいなものは感じなかった。

倒錯的な恋愛劇。素直に女性を愛せず、変わったフェチズムの世界に生きる男と、欲求不満から性への好奇心を解放していく女。女がフリーラヴの精神に忠実なキャラで、夫に対して、不倫もSMプレイも全て包み隠さす話してしまう所が面白かった。囚われていたのは女だけでなく、男たちでもあったように思う。

イメージ画像が多くを物語る。アートと日常生活。建築、インテリア、ファッション、写真。幾何学模様、動くアート、ストライプ柄、原色使い、性をモチーフにした絵画・彫刻、サイケデリックな悪夢的映像。

洗脳の手順が、説得力をもって、丁寧に描かれていた。恐怖心→主従関係の明確化→無力感→価値観の刷り込み→安心→...。羞恥心を快感に変えていく。

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