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囚われの女のabokadoのレビュー・感想・評価

囚われの女(1968年製作の映画)
4.5
まず最初にこれはいやらしい映画ではありません。こちらもサスペンスです。

人間の内側に潜むサディズムとマゾヒズム誰しも持ち合わせているこの二つ。暴力と言うのは行動に起こすものばかりではなく言葉の暴力というものが存在する。
言葉により相手を一喜一憂させるのだ。そんな言葉の力で囚われてしまった女性の話。

冒頭から物凄く不気味、あの柔らかい人形をいじくりまわしこねくり回す男スタン、不快ったらしょうがない。
ビビッドなカラーの髪の色とファッション、ユニークなオブジェや創作物。目がチカチカするような映像の数々。男と女の性交のシーンなんてほぼ無いんだけど(あっても一瞬だしそんなに映らない)なんともいやらしさが漂う(人間の内面のエロス)2人の間柄は見えない主従関係ができていてスタンの言動と振る舞い一つでどうにでもなるジョゼ。最初はちょっと気になるくらいだったのにどんどん深みにハマって抜け出せなくなる。
ジョゼはもうスタンの事しか考えられなくなって狂っていく。

ジョゼと共感するように観ている者も囚われていくこの映画は人間の心理を上手く利用していると思う。人間の内面に潜む欲求や願望を掻き立てるのだ。

最近のサスペンスに枯渇していた自分だけどまだまだ旧作には面白いのがたくさんあると感じる!!むしろ旧作が占めているのかも!
このアンリ•ジョルジュ•クルーゾー監督も間違いなくそのうちの1人でこの囚われの女が遺作になってしまったのが本当に勿体ない。

これは余談ですが、監督映画デビュー作(たぶん)『犯人は21番に住む』が近々上映らしい!勿論見ますとも!そして作品制覇したい。
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