スギノイチ

囚われの女のスギノイチのレビュー・感想・評価

囚われの女(1968年製作の映画)
4.0
タイトルから何となく監禁凌辱的な物を想像してしまうが、「囚われ」はむしろ精神的なものを指している。
夫の知り合い・スタンのスライドショーの中にSM写真を発見して以来、スタンとSM世界に惹かれていく主人公。

登場する家屋はことごとく洗練されていて、これでもかと言うぐらいオシャレ。当時のフランスはこんななのか?
鏡写しになったりトリックアート的に映像が歪んだり、どの画面もキマっている。
電話やスタンドの小物に至るまで洗練されているため現実感が薄く、観念的世界に迷い込んだ気になってくる。
まあフランス映画なんてそんなのばっかしなのかもしれないが、この監督の過去作は比較的「フランス映画」っぽくなかったので意外だった。

終盤、踏切事故を起こした主人公の脳内でサイケ映像が一気に繰り出される。ここが中々にインパクトが大きい。
緊縛、訳の解らぬ遊具、人形、殺人、オブジェ、アニメ、暴力が脈絡なく連結され、ドラッグムービーの様相を呈してくる。
連続性の無い思考の中で、徐々に夫とスタンのイメージが統合されていく。
そして、目覚めた時には、既に夫の存在は脳内から消えている。残酷な置換だ。
自分に既に価値が無いと悟り去っていく夫のうらぶれた姿が切ない。
しかし、主演の女優エロいなあ…
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