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腰抜け二刀流のsayuriasamaのレビュー・感想・評価

腰抜け二刀流(1950年製作の映画)
3.9
時代劇のはずなのに現代ネタが混じってる大・ミュージカル・時代劇コメディー

森繁久彌映画初主演作(だけど、クレジットはトップではなかったような…)
宝塚出身轟夕起子が旅芸者、森繁は宮本武蔵之助と名乗る「自称」二刀流の剣豪。

ストーリー
とある依頼を受けて旅にでた芸者のおろく(轟)は、途中で小さい子連れの男(田中春男)に出会う。彼らは何者からか逃げているらしい。そんな中、おろくはこの子連れ男を追いかけていると、宮本武蔵之助(森繁)と名乗る侍のショータイム中をすり抜けた。この侍、民から本物の宮本武蔵に間違えられた上に、ひょんなことから、このあと、おろくたちとともに旅を続ける…

軽やかなミュージカルナンバーに乗せて、おろくもかんざしを投げてピンチを切り抜け、偽武蔵も何だかんだでピンチを切り抜けていく。偽武蔵なので剣術はむちゃくちゃなんだけど、よく切り抜けられるよな〜(笑)
あと、江戸時代設定なのに「サインください〜」ともみくちゃにされる偽武蔵やら、「この世が昭和20年代のアプレなら〜」と急に現実が入る。未来人からすると、当時の世相をフォローしておいたほうがもっと面白いのだろうなぁ〜

逃げ回る男と子供が無事に逃げ切れるのか、おろくと武蔵も無事なのか、とちょっぴりサスペンスもあり、そしてパロディソングも楽しく、一味変わった時代劇。今でもコメディ時代劇はあるけど、ここまで「歌って踊る」時代劇作品はない気がする。

現代とテンポは違うので、少しダレたところもあるのだが、それでも動き回って歌う森繁は面白い。後年、『社長シリーズ』や『屋根の上のバイオリン弾き』テヴィエ役を長く演じる姿は目に浮かぶ。

…その前に、ダメ男文芸作品群が続いてシリアス路線に行くことのほうが興味深い。
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