浜一

もののけ姫の浜一のネタバレレビュー・内容・結末

もののけ姫(1997年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

★個人的な意見だが、「もののけ姫」は「風の谷のナウシカ」の焼き直しだと思っている。
★宮崎駿監督は映画版ナウシカについて完成後このようなコメントをした事がある。「あのラストで、ナウシカが王蟲の群れに立ちはだかったからといって、もう王蟲の群れが止まる訳がない」と。ナウシカ製作時点で原作漫画はまだ1~2巻しか描かれておらず、監督の納得のいくラストになっていなかった模様。「もののけ姫」はナウシカの漫画版が完結した後に製作されている。
★設定に似た要素が多い。
蟲と腐海=もののけ
蟲愛ずる姫君ナウシカ=もののけ姫サン
クシャナ=エボシ御前
アスベル=アシタカ
特にアスベルとアシタカを演じているのは同じ俳優、松田洋治。
★変更点
まずは主役が姫君から見守る男になった。
ナウシカもサンも人間でありながら対立関係にある大自然側に片足を突っ込んだような存在。「ナウシカ」は彼女の視点を中心にして進む物語だったが、「もののけ姫」ではより客観的に出来事を見る事のできる人物、「ナウシカ」ではアスベルに相当するアシタカを主役に据えた。アシタカは故郷を旅立つ際に長からこのように言われる「曇りなき眼で見届けよ」と。
そしてラスト。
「ナウシカ」では王蟲の群れにナウシカが立ちはだかる事で、谷の人々及びトルメキア軍は助かる。更に腐海の底ではナウシカが無意識に落としたチコの実が芽吹いている。
「もののけ姫」では、サンは乙事主がタタリ神になるのを阻止しようとするが失敗。またシシ神も首を切られてしまう。まあ首を戻す事で朽ちかけた自然は戻るのだが、一筋縄ではいかなかった。その上でサンは人の世界で生きない。もののけの世界に生き、アシタカは人の世界で生き「会いに行く」と言う。
かつての「ナウシカ」のように綺麗事で事は片付かない。色々、問題が残ってしまう世の中ではある。互いに別の世界で生きる事にもなる。しかし、それでも尚、『生きろ』ということなのではないだろうか?
浜一

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