みのうぐん

もののけ姫のみのうぐんのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
2.7
昔、『千と千尋の神隠し』を映画館で観て、あまりにシナリオが酷すぎたので、それ以降『風立ちぬ』まで宮崎駿映画は観ていなかったけど、『君たちはどう生きるか』で過去作のオマージュが散りばめられていたり、「千と千尋以前の脚本の出来はどうだったっけ」と思い立って、まずは、もののけ姫から順番に、如何にシナリオが加速度的に蔑ろにされていったかを追っていこうという試みを始めました。⁡
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もののけ姫は子供の頃に見て難しい話だった印象だけど、今見ると作話の構成がとっ散らかって主な話の筋が見えず、主人公のアシタカの行動原理がまるで理解不能だったので、ずいぶんと不親切なストーリーテリングだなと思った。⁡
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⁡なんか、元ジブリスタッフのTwitterのスペースでの発言によると、⁡
⁡「千と千尋以降、脚本の整合性は二の次三の次になっていて、宮崎駿のアーティスティックな面がどんどん露になっていった」⁡
⁡という事らしいけど、もののけ姫の段階で既にずいぶんといい加減なシナリオで、日本最高峰のアニメ映画でこの作話レベルで、当時大ヒットしてたんだもんなあ…という気持ちになった。⁡
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⁡絵の配色の色鮮やかさや、無数のモブ達の動きの躍動感は凄くて、今の基準でも世界一って気がする。⁡
⁡でも、単に目を見張る点はそこだけで脚本も酷いのに、今作や千と千尋が社会現象レベルのヒットを飛ばしたのは、作者宮崎駿の、少女→母親の二極分化的女性観と同じ性癖の観客が相当数いる事を表していると思う。⁡ロリコンかつマザコン。⁡
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⁡宮崎作品では、「がさつか下品、あるいはヒステリーなプロレタリアート娘」が徹底的に排除されていて、ジブリ好きのファン達も、宮崎駿映画にはこの手の女性が出てこないという信頼感によって作品を受容している。⁡
⁡要は、宮崎駿もそのファン達も、恋愛経験の場数が少ないので、上のようなガサツ女は手に負えずフィクションでも登場してくるとパニックになる程持て余すという事ですね。⁡
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⁡「ジブリには女性ファンも多いじゃないか」⁡⁡⁡
⁡という指摘が来そうだけど、彼女たちも概ね都市部のオタク層で、異性関係も身体より心の繋がりとか求めるタイプ。⁡
⁡田舎のヤンキー女みたいなのは皆無。⁡
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⁡まあ、よって恋愛経験の乏しさから来る非現実的な絵空事のようなキャラ造形とストーリー展開で、「少女の中にある母性」みたいなのに性的興奮を覚えるロリコン特有の異常性癖と、映像の動きの美しさに魅了される人がまんまとジブリ信者になっていくという構図かと。⁡