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もののけ姫のAのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
4.5
「みんなやり直しだ。ここをいい村にしよう」
エボシは豊かさを求め森を侵し、私欲を貪った挙句、その報いを受けた。彼女たちが新たに作るタタラ場はどんな場所になるのだろうか。

エボシの人間主体の身勝手なやり方に警鐘を鳴らし続けたのは「橋渡し役」であるアシタカだ。人間は人間(強者)だけが豊かさを享受するためにそれ以外のものを蹂躙する。その犠牲になったのがサンや動物たちといった自然のもの、そしてその飛び火を受けたのが善良な第三者であるアシタカだ。しかしアシタカは決してタタラ場の人たちを、人間が豊かさを求めることを悪としなかった。アシタカは人間と自然、知恵を持つ強者とモノ言えぬ弱者、双方に寄り添おうとしていた。

動物たちはタタラ場の人間の前で言葉を話さない。それは、彼らを理解しようとする者にしか知覚できない言語だからだ。私たちにもアシタカのような心が必要なのかもしれない。

2023(38)
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