もののけ姫を今更ながら初鑑賞。大人になるまでとっておいて良かったと思いつつ、未鑑賞の宮崎駿作品がまた1つ減ったことが悲しい。
もののけ姫の良い点は、アバターのような所謂"自然保護系"の作品と異なり、人間側を一方的な悪として描いていないところだと思う。森も懸命に生きているが、たたら場の人々だって日々を一所懸命に生きていて、両方を応援したくなった。
そして、映画内で何度も登場する「共に生きる」という言葉がとても刺さった。作中では"人間排除"か"人間最優先"かという極端な意見を取り持つために、アシタカが放った台詞ではあるが、現実の世界でもこうしたラディカルな思想は増えているように思う。しかし、それ自体が人間を自然という枠組みから切り離しており、自然を超越した存在だという驕りだと改めて感じさせられた。
結局のところ人間は自然の一部に過ぎず、「共に生きる」ことができなければ自然も人間も滅びる。そしてそれを体現するのが、日本人が古来より持つ森羅万象への畏れと信仰であり、神道なのではないだろうか。この作品は日本人だからこそ面白く、そして考えさせられる作品だと感じた。
