ずっと、自然破壊だけがこの映画のテーマだと思っていた。
自然の底知れなさが「神」や「呪い」として表されていて、
人間の業はこんなにも深いのに浅はかで、到底太刀打ちできないと。
でも今日、終戦記念日を前にした金曜ロードショーで、この映画が放映される意味を考えてみて気がついた。
対自然だけではない。
人間社会における共存についても、大きな問いかけをしている。
人は他者を如何にして受け入れることができるか。
如何にして憎しみに飲まれずに生きていくことができるか。
皆を生かしたいアシタカの思いは綺麗事かもしれない。
タタラ場の女たちと踏み込む板も、モロの「お前にサンが救えるか」という言葉も、ずしりと重い。
それでも、「曇りなき眼で見定める」と心に誓ったアシタカの瞳は、共存の未来を真っ直ぐに見つめる。
誰もが曇りなき眼で互いを見つめることができたら。
そんなことを思った8月13日だった。
書いているうちに日付は変わる。
明日で、終戦から76年が経つ。