TAK44マグナム

ディーモン/悪魔の受精卵/神が殺せと云ったのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.1
神のお告げです。


「セルラー」や「フォーンブース」などの電話スリラーや「悪魔の赤ちゃん」や「ザ・スタッフ」みたいなトンデモ系ホラーまで、幅広いジャンルでB級の秀作に携わりつづけた才人ラリー・コーエンが製作から監督、脚本まで手掛けたSFオカルトスリラー。

ラリー・コーエンと言う人は確かにアイデアマンなんですけれど、自分で演出すると眠たい映画が出来上がるんですよね。
これもその類ですが、低予算からくるゲリラ撮影がドキュメンタリーチックに異様な緊張感を生んでいます。
特に冒頭、給水塔から次々と道行く人々が狙撃される場面は素晴らしいの一言。
なにせ撃たれるのは役者でも、それに駆け寄る人々は本物の通行人だったりするのでリアル。
余計な演出を加えなくても勝手に迫真の映像が出来上がるという寸法で、すごく怒られそう(汗)

しかし、ある程度派手なのはここまで。
DVDのジャケットは、やたらスペクタクル感を醸し出すイラストですけれど、そんな過剰さは微塵もありません。
はっきり言って地味。
狙撃犯のあとも、パレード中に発砲する警官や家族皆殺しパパとか、「神のお告げ」によって殺人を犯す輩が出てきますが、それを阻止するよりも主人公のパーソナルな方向へと物語がシフトしていってしまうんですね。
なので緊迫感が持続しない。

ただ合間合間に、とんでもない撮り方している階段落ちの場面や、これまたそういう方向できたのかと月刊ムー読者が喜びそうな「神の正体」が判明する無重力レイプの場面などを挟んでくるのが憎いところ。
さすがラリー・コーエン。
なんじゃこりゃ(苦笑)!

でも、やっぱり眠くなるんですよね。
折角、12の使徒みたいなオッサンたちが出てきたり、ピカピカ光る神さまが出てくるんだからハルマゲドンでも起きれば面白いのにクライマックスまでもが信じられないぐらい地味!
「男でも女でもない」神さまのボディにモザイク無しの○○○○が口を開いてカモン!ってなっているのは笑えましたけれど。
ラリー・コーエン、この頃おかしくなっていたのかな(汗)

もうね、「仮面ライダークウガ」のオダジョーみたいな「それじゃ行ってきます」の場面も、主人公とその奥さん、そして不倫相手が一堂に会するという、どうしたら良いのか状態で暗いし、救いがあるのか無いのかよく分からないラストもどんよりするだけ。
唯一、不倫相手を演じるデボラ・ラフィンのメガネ姿に萌えましたけれど。
ブロンソン主演の「スーパーマグナム」でも悲劇のヒロイン役だった女優さんで、知的美人役がとても似合います。


オカルトかと思っていたらSFだった本作、宗教色はそこまで濃くないので難しい話ではありません。
どちらかというと子供の戯言みたいな内容ですが、実際にも「神のお告げ殺人」は起こっていたりするので、ラリー・コーエンなりのアンサーだと思って深夜にでも鑑賞してみましょう。
きっと、気がついたら翌朝です。


ゲオ宅配レンタルにて