よしおスタンダード

アンビリーバブルのよしおスタンダードのレビュー・感想・評価

アンビリーバブル(2003年製作の映画)
2.2
No.2521。さまざまなテーマ、モチーフが断片的にパッチワークのように続いていく、摩訶不思議な作品。

このストーリーに整合性はあるのか、つじつまの合う説明は可能なのか、それを考えるエネルギーが今の私には、無いw!!

ただ、映像として、印象に残る場面はたくさんある。スケートリンクの場面、雪が降る場面、ラストシーン等々・・・。北欧デンマークの監督が撮ったっぽい雰囲気も出てるし、カズオ・イシグロの小説を読んでるような世界観も若干ある。

一つ知っておいたほうがいいのは、トマス・ヴィンターベア監督が「この映画は”脱ドグマ”の映画だ」と言っていること。

「ドグマ」とは、1995年にラース・フォン・トリアーやヴィンターベアらによって始められたデンマークの映画運動「ドグマ95」のことです。

ドグマって、いい作品もたくさん生み出している一方で、やたら映画制作に「厳しいルール」があるため、そのルールと、自分が本当に表現したいものとの葛藤に苦しんでいた監督もいたことは想像に難くない。

実際、ヴィンターベアは、ドグマで制作した「セレブレーション」という作品がカンヌで高い評価を受けたが、本作では「脱ドグマ」として、制約に縛られない映画作りをしている。

つまり、尾崎豊じゃないけれど「♪こ~の支配からの卒業~」ってことで、自分の撮りたいように撮ったのがこの「アンビリーバブル」なので、少し意地悪な言い方をしてしまえば「自分の撮りたい映画を撮ることそのものが目的」ともいえるのです。

だから、作品自体は訳が分からなくて破綻をきたしているように見えても本人的にはなんのダメージもない、とこういうことになるわけです。

原題は「IT'S ALL ABOUT LOVE」なのに、邦題が「アンビリーバブル」なんていう、なんだか意味不明なものになってしまったのも、もうどういう邦題つけたらいいのか担当者も相当悩んだんじゃないんですかね?