まりぃくりすてぃ

ブルー・ブルー・ブルーのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

ブルー・ブルー・ブルー(2008年製作の映画)
4.0
オーストラリア映画の最高作(私が今までに観た中で)。ヤッタネ、コアラちゃん! 巧くまとまってるよ。

能天気っぽいパケ写からは想像つかないほど、尖ってた。下手な暴力とかはない。悲劇は描かれるけど、その悲劇を充分丁寧に取り扱ってて、好感持てた。ベタなアホさを女子二人が持ち込んでるのも、悪くなかった。全体がベタということはなく、若さと熱さと飛び出しのよさとカッコよさ(と男子のお尻丸出しの多さ!)が基調で、心をちょっぴり打つ要素もあった。
素材は「サーフィン&キャンプ」、主題は「心の少々の成長」と「兄弟間の葛藤・愛・絆」。ヨハネ書12章24 “一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのまま。しかし、もし死ねば、豊かな実を結ぶ” を思い起こさせた。
元トップサーファー候補だったがケガして少々負け犬人生を歩んでる異母兄(おそらくは離婚した生母に引き取られてから母を亡くし、父に恨みをもつ)/誇り高き若サーファーのジェスィー(これが主人公)/サーフィンなんてやらせてもらったことないバンビ扱いの弟ファーガス。
湿りある家族物としては伝統的イタリア映画に、男女七人若者群像はいわゆるトレンディー系以来の若向け商業邦画に、テンポよさはB級アメリカ映画に通じるふうで、冒険スポーツの迫力出しはオーストラリアのお家芸って感じかな。しょっちゅう全裸になってお尻をさらして海へ町へ駈けてゆく男子たちがムリなく楽しいんだけど、あんまりしょっちゅうやられたから、おちんちんも見たかったなって。見セナサイネ。

暴れんぼな予感を生む異母兄ヴィクター(結局イイ人)を除くと、以下の七人の若者がキャンプへ連れ立つのです。
主人公ジェス(すっぱいようなアツ苦しさのあるゴリラっぽい金髪碧眼イケメン。私の沖縄のお友達A君に激似!)
その弟ファーガス(一番美しい。ジェスと双子みたいに似てるんだけど黒+パープル染め髪だからアツさが程よい。私の沖縄のお友達A君に激似!)
仲間スコッティー(金髪。日本でならゼッタイ木村拓哉的主役級イケメン扱い。なのにここでは気の毒な道化役。私の沖縄のお友達B君に似!)
仲間ネイサン(金髪フツメン。ヘンな眉毛してて垂れ目。私の沖縄のお友達C君に似!)
仲間アンディ(金髪イケメン。眉のキリッとした貴公子風。私の沖縄のお友達D君に激似!)
軽薄な美女子デブラ(金髪)
軽薄を超えて頭完全カラッポな美女子リアー(ブルネット)
・・・・あれ? こうして並べてみると男女七人物語なのに女子が二人しかいない。その訳は、、、うん、ああいうことよ。あぶれ者は木村拓哉風横山ノック似のスコッティーでした。
よく練られた面白めの脚本なんだけど、キャンプの夜の真っ暗シークエンスと、あくる朝のヤマ場である海上シークエンスで、何人かの顔や姿が区別つかなくて、誰と誰と誰がどうやってどうなったのかが呑み込みづらかった。主人公ジェスィーが(髪濡れたり暗闇になったりすると)しばしば弟やネイサンやアンディーに似ちゃうためだ。それと、アンディーとネイサンも、眉毛を確かめられない時は区別つきにくい。結局、一番特徴的だったのは気の毒な “横山拓哉” のスコッティーでした。

サーフィン場面はすべてイケまくってた。質量ともにサーフィン映画として全然合格。その多くを負ってたのは、アンディー(いずれ世界王者になる逸材という設定)のライド姿だったかな。そして初心者のヤッター感をスープ乗りで表現した点は、作り手がサーフィンを普通にまともに理解してることの証明、もちろん。
水難者を救おうとサメ群みたいに集まる者たちを海中から見上げるショットとか、神秘的だった。偉いぞ、オーストラリア!

頭カラッポ女子のお寒さが凄かった。車の中でゲロを男子Aのシャツに吐いて汚したのに一言も謝らず、Aが車の外で脱いで騒いでるあいだに彼女は男子Bになびく。夜、そのBのギターの弾き語りにうっとりしてた時に男子Cが「その歌詞、俺が作ったんだよ」と横から言ったのに、彼女はそのままCの目の前でBといちゃつく。ここまで人の道に反する人って、いるんだね。ダメだよ。。。。
この映画のエグゼクティブプロデューサーには日本人三人の名が連なってる。それで若者相関図とかに邦画っぽさがあるのかな?
ジェスィーにとってサーファーとしてのライバルは仲間内ではアンディーだったけど、最後の最後に仲間外の宿敵・リプリー(この人もイケメン!)をクローズアップさせて競技会の終わりまでをきちんと描いてほしかったな。まとめ方は無難だったけどもうあと10分尺を伸ばして大ヤマつくってほしかったな。

でも、これは私が今まで観たオーストラリア映画のうちの最高傑作だよ。(まだ4作ぐらいしか観てないけど。)


[つたや]