イチロヲ

キャッスル・フリークのイチロヲのレビュー・感想・評価

キャッスル・フリーク(1995年製作の映画)
5.0
イタリアの古城を相続したアメリカ人の家族が、地下牢に幽閉されているフリークに脅かされていく。「もしもスチュアート・ゴードンがジャッロを製作したら?」を実現させている、サスペンス・ホラー。

夫に捨てられた公爵夫人が自分の息子を虐待していた、という訳あり物件の理由が冒頭部で開示される。古城を訪れる家族は、自身の過失により長男を死亡させたアル中の夫、その夫に不審感を抱いている妻、父の過失により盲目になった長女、という構成。

物語は夫視点がメインであり、古城の秘密を察知しても、理解者が周囲にいないという、孤軍奮闘型のサスペンスが進行していく。子供に愛情を捧げられなかった男(主人公)と親の愛情を知らない男(フリーク)の衝突劇に、やるせなさが込み上げてくる。

とりわけ、見よう見まねで女性を誘惑して、乳首を愛撫したり、クンニしたり(結局血まみれにしてしまう)、どうにかこうにか健常者の愛情表現を取り戻そうとするフリークの姿に、涙腺を刺激させられる。日陰者同士の倒錯と哀感が伝わってくる逸品。
イチロヲ

イチロヲ