ーcoyolyー

雲流るるはてに/雲晴れるまでのーcoyolyーのレビュー・感想・評価

3.5
「つらくても希望はある 広がる青空を雲が覆い隠してしまっても 忘れないでいよう 太陽は必ずどこかを照らしている それなら私はこうしよう 楽しいことを考えるの 私の心の中を喜びで満たそう そうすれば悲しみや怒りは 消えてなくなる だから私はいつも つらくても希望を抱いていよう そして見つけるの 私の人生にある楽しいことを だから私はいつも つらくても希望を抱いていよう そして見つけるの 私の人生にある楽しいことを」

この時期のジュディ・ガーランドにこんな歌を歌わせるの皮肉!鬼畜!と思ったんだけどジュディ本人にしてみたらこれを歌うことで救われた部分もあるかも知れないし、簡単に判断しちゃいけないなと思い直した。とりあえず説得力は凄まじかった。

『ジュディ 虹の彼方に』を観る前にアマプラで観れるジュディ・ガーランド作品を制覇しようと思い立って数ヶ月、いつのまにか有耶無耶になっていたけども間もなく配信終了らしくてW杯の合間を縫って修行再開しました。

そしたらこの映画、のっけから白人に都合の良い黒人像を押し付けられた『ショウボート』の劇中劇から始まってて、なんというか私Disney +解約する前に『ハミルトン』観た方がいいのかなってなった。そののっけから登場するマリリン・ミラー役のジュディ・ガーランド、顔が完全に壊れてるんだよね。焦点が合ってない。数日前にマリリン・モンローの同じ表情の写真を偶然見かけて、その表情のマリリン・モンローを素敵だと思った人も含めて悲しくなったんだけど、内面の崩れ方が表情に滲んでいる人を見るのは辛い。今までジュディ・ガーランドどんな酷い顔をしていても歌声は完璧だったのにこの時はほんの少しだけど音程がズレていてコントロールしきれていない。もう内面がカタストロフ起こしてるのが伝わってくる。

スターはスターだけど人間でもあることを皆忘れている。忘れているからこんな風にさせてしまうしこんなところにまで追い込んでしまう。

でも、スターだって人間なんです。そのこと決して忘れてはならないんです。

映画の内容としては『アメリカ交響楽』(この邦題好き)が当たったからガーシュインに続き音楽家の一生的な映画作るの流行ったのかなと思いました。随所に挿入されるレビュー自体は楽しかったよ。

余談ですが、マリリン・ミラー役のジュディ・ガーランドが「マグノリア!」と呼ばれてて、マグノリア?マリリンの正式名称?と気になって調べてみたらマリリンってマグダラのマリア由来の名前の愛称なんですってね。あえてマグダラを芸名に選んだマリリン・モンローという存在に背筋がゾッとしました。私「お前らはほんっとマグダラの頃からこういう人物への扱い変わらねえな!」とマリリン・モンローへの社会の扱いに怒っていたから。そっか、名前がもうそうなんだって……
(ちなみにマグノリアは『ショウボート』でのマリリン・ミラーの役名というだけでした。ジュディ・ガーランドがマリリン・ミラーを演じて、そのジュディ・ガーランド演じるマリリン・ミラーがマグノリアを劇中劇で演じていたんですね)
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