「この作品はきらめく愛のような感動的な物語ではない。主役は映画俳優でなく大都市に住む市民たち。彼らの記録である。」
「我々が求めていたのは身近にある現実のみ、かつて無い映画表現を徹底的に追及したのだ」
フェリーニやアントニオーニといった有名監督も名を連ねる、六編からなるイタリアのオムニバス映画。ネオレアリズモの流れを組んで当時の資料としてもかなり面白い。
娼婦や自殺未遂者へのインタビュー、当時の結婚相談所への潜入撮影、託児所を探すシングルマザー、ダンスホールでの人々の動きや街の中での視線を追った実験作など。
当時のイタリアではドキュメンタリータッチなオムニバスが多く撮られたけど、そのどれもが国境を越えて今と同じ問題や構造を抱えているようで興味深い。他の作品をもっと見てみたくなった。