近本光司

おとし穴の近本光司のレビュー・感想・評価

おとし穴(1962年製作の映画)
4.0
おらはなあ、生まれ変わったら労働組合っちゅうもんがあるとこで働いて、あの汚ねえ会社の連中に一杯食わせてやりてえんだ。あるときそんな夢を語った男は、訳のわからないままに見知らぬ者に突然追わされて殺されてしまう。なぜおれは殺されてしまったのか。いったい裏で手を引いているのは誰なのか。男は亡霊になっても最後までその真相にたどり着くことができない。画面を見つめる観客にたいして巨悪の存在が示唆されるのみである。死体のあたりをひらひらと舞う蝶よ。山の稜線をゆく狼の群れよ。傑作!