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日本の悲劇のbのレビュー・感想・評価

日本の悲劇(1953年製作の映画)
4.7
神話を失った日本社会の狼狽と動揺の克明な記録。
戦後社会の他者性が家族という共同体にも侵食して蝕んでいく、誰もが個人主義化した社会をあまりにもクールな視点で捉えていて、人間性が乏しいとすら感じる絶対零度の冷たさ。こんな映画が戦後間もない時代に作られたなんて、口をあんぐりとせずにはいられない。
戦後、天皇は神様ではなく人間になったように絶対的なものであるはずの家族が絶対的なものでなくなった。家族神話の崩壊。まぁ、それは人間を支える価値観全てがひっくり返るのと同義だろう。そこには何もないし何も存在し得なかった。まさに焼け野原。
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