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日本の悲劇の0のレビュー・感想・評価

日本の悲劇(1953年製作の映画)
4.0
辛過ぎた。
見終わった後の虚脱感が半端なく重い。
救いなど何もない。戦争のせいで人生を滅茶苦茶にされる。血の繋がった家族でも、自分の腹を痛めて産んだ子でも、自分以外はどうせ他人。他人に頼って生きることの虚しさ、悲哀。

すべては我が子のため、子供に金を渡すことが幸せに繋がる、だから、売春にも耐えた。娘も息子も、自分だけの力で立派に育て上げた。だから、娘と息子から親である自分は賞賛されて然るべきだし、見返りを求めて当然。
しかし、娘・息子は、金を稼ぐことが幸福だと思い込み、ふしだらな手段でしか生きる術を持たない母親を心底軽蔑している。彼女の死を悼むのは赤の他人の男二人。

走馬灯のように思い出す回想が、無音なのも引き込まれた。
悲しい。ただただ悲しい。

「生きる」(1952年)の主人公もこんな感じだった。
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