このレビューはネタバレを含みます
ソビエト初のトーキー映画。
紛争によって浮浪児が増え、治安が悪くなった街。盗みや騙しが染みついてしまった子供たちに、児童保護団体は共同工場での労働を通して社会性と人間性を植え付けようと試みる物語。
今ではコンプライアンス的に完全アウトであろう児童労働など諸々の描写も、このようなプロパガンダがつくられる位には現実味があったのだろうし、無為という自由に晒された人間が堕落するのも頷ける。
教育と目的を与えられた子供たちが、自分たちに向けられる眼差しに応えようと生々としていく様は素直に感動的だったと言え、ラストの列車に乗せられ、みんなのもとに辿り着くムスタファの姿には胸を打たれた。
字幕の挿入や陰影によるダイナミックな演出などはサイレントの名残りを感じさせる。