ぴんじょん

プレイタイムのぴんじょんのレビュー・感想・評価

プレイタイム(1967年製作の映画)
4.0
カラーの質感がいいんだなぁ。

衛星放送で特集してくれなかったら、映画素人の僕なんかが知ることはなかったであろう、ジャック・タチの作品。
もっとも、『イリュージョニスト』は以前に見てはいたんだけどね。

『ぼくの伯父さんの休暇』がとっても素敵だったんで、ユロ氏を追いかけています。

でも、この作品は、ジャック・タチ扮するユロ氏が主役というわけじゃない。
ユロ氏が出てくることは出てくるんだけど、ただ画面上をうろうろしているだけ、特別にコミカルなことをするわけでもない。
かわりに登場するのは、パリの観光をするアメリカ人団体客。

ストーリーはあるようなないような…、はっきり言って「ない」かな。

急ごしらえのナイトクラブはギャグ満載なんだけど、必ずしも腹を抱えるほどのものでもないし。
録画したビデオを、何日にもわたって細切れでようやく見終えました。

それでも、映し出された映像の不思議さに魅了されます。
モダンと言うべきか、未来的と言うべきか。
一番面白かったのは、ガラスの割れてしまったドアの取っ手だけを持って、ガラスのドアがあるかのように見せるドアマン。
パントマイム出身のジャック・タチらしいし、この映画のモダンな建築物のすべてを象徴しているようにも思えてきました。

カラーも独特の質感を持っているようです。

騒々しいナイトクラブの客の姿の中に、フランス人のアメリカ人観も垣間見えるのですが。
そんな中、一人のアメリカ人女性がユロ氏の心をとらえます。
ジャック・タチの作品の中には、どこか可憐な少女に近い女性が登場します。
それが、またいいんだな。

2018/12/9 8:26
605-2
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