イチロヲ

血まみれギャングママのイチロヲのレビュー・感想・評価

血まみれギャングママ(1970年製作の映画)
3.5
生活困窮に喘いでいる夫人が、性格が異なる4人の息子を使役しながら、強盗劇を繰り広げていく。1930年代に実在した強盗ファミリーを題材に取っている、クライム・サスペンス。以後、姉妹編が2本製作されている。

端的に言うと、アメリカン・ニューシネマを基礎にした犯罪劇。肝っ玉母ちゃんが統率する息子たちは、同性愛者・暴力主義者・敬虔主義者・ドラッグ中毒者、という顔ぶれ。この歪なファミリー像が、他作品を寄せ付けぬほどの妙味を作っている。

アメリカ社会が構築されていく過程を、実録フィルムを交えて解説しながら、混沌と腐敗を提起していくところが面白い。取って付けたような社会風刺と底辺部のジタバタ劇に訴求力があり、ロジャー・コーマンらしさを感じ取ることができる。

4人の息子のうちの1人を、若かりし頃のロバート・デ・ニーロが熱演。監督いわく、デ・ニーロは撮影のために車を無免許運転したり、断食することで衰弱した身体を作ったりしていたらしい。若い頃からまったくブレることのない役者根性にサムズアップ。
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