ペコリンゴ

血まみれギャングママのペコリンゴのレビュー・感想・評価

血まみれギャングママ(1970年製作の映画)
3.2
記録。
母は強し…?

実在の強盗一家をモチーフにしたロジャー・コーマン流アメリカンニューシネマ、というかB級バイオレンス。

強めのインパクトと共にどこか滑稽さも共存するタイトルと裏腹に、ギャングママことケイトの少女時代の一幕を描いた冒頭のシークエンスは大分ショッキング。

彼女はこの件をきっかけに息子が欲しいと願うんだけど、授かった4人の息子との関係性、築いた家族の形というのは歪そのもの。なんせ一家一丸でギャング稼業に勤しむんだから。

ポンコツ夫と別れ、一家の長となったケイトがこよなく愛する息子たち(漏れなくマザコン)はいずれも個性的。この親にしてこの息子ありというか、どいつもこいつもアナーキー。

その中でもやはり注目しちゃうのは、ドラッグ中毒の末っ子を演じるキャリア初期のデニーロ(老けてるけど20代ね)。

「デニーロアプローチ」なる言葉が当時あったかどうかは知らんけど、南部訛りの習得や衰弱していく表現のために食事をやめたりと、既にこの頃から徹底した役作りをしてたみたい。確かにあのヤク中っぷりは印象に残る。

正直な話、物珍しさとデニーロが出てるって期待だけでこの作品をエンジョイするのはちと厳しい気がするけど、悪辣を尽くした一家の散り際を描いたラストはなかなかの見もの。

ちなみに言うほどママは血まみれにはならないので、悪しからず。