クシーくん

キャプテン・アメリカ ~レッド・スカルの野望~/キャプテン・アメリカ 帝国の野望のクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

2.9

このレビューはネタバレを含みます

なんともしょっぱいキャプテン・アメリカである。アルバート・ピュンとティム・バートンを比較するのも酷な話ではあるが、前年にはバットマンやってるんだよなあ。1960年代くらいの映画と言われても納得してしまえそうなロークオリティ。アクション、演出、脚本どれをとってもお粗末。MCUと比較するのも不毛な話だが、1990年から10数年であそこまで仕上げてきたのはむしろ感動的ですらある。

原作では第二次大戦を連戦したヒーローという設定だった筈なのだが本作では初任務でいきなり捕まり、ホワイトハウスに飛ばすミサイルに括り付けられてしまう。全然ダメじゃん。辛くもミサイルの軌道をふんばって変える(?)ことでホワイトハウス爆破は防いだものの、そのままアラスカの流氷の中に沈み、冬眠状態になるキャップ。初任務でいきなり失敗、冬眠してしまうので、アメリカ国民は誰もキャプテン・アメリカを知らないのである!そんなのアリか?

なお、ホワイトハウスにミサイルがぶつかりそうになる際、たまたまその様子を撮影していた少年が成長し、後の合衆国大統領に!ミサイルが飛んでくる一瞬を捉えた上にキャップの顔まで撮影してしまうとんでもない離れ業をやってのけるが、それまでの怒涛の雑展開でそんなことは余り気にならなくなってしまう。
そしてこの大統領、やたらに強い。後半敵組織に拉致された大統領は、ガバガバの牢の扉を自力でぶち破り、キャップが敵アジトに侵入する前にある程度まで脱出完遂してしまう。襲いかかる敵も大統領パンチと大統領タックルでやっつける。正直キャップよりも敵を倒してる回数が多いので、大統領のが強くね?ってなる。

反面、本作のキャップは余り強くないのが特徴である。レッドスカルが下っ端として使っているただのチンピラに苦戦しているのでお前本当に超人血清打ったのか…?という頼り無さが魅力だ。車酔いしたフリをして勝手に人の車を盗んでいく卑劣天丼がヘボヒーローぶりに拍車を掛ける。

レッドスカルの設定はなぜかドイツ人ではなくムッソリーニに家族を惨殺された上に拉致られたイタリア人の少年で、変な人体実験を施されてキャップと同じ超人になったという設定。何故そんな悲惨な設定にしたのか最初はわからなかったが、その後の展開を見るにつれ恐らく、恐らくだが単に監督かプロデューサーか、スタッフがイタリア旅行したかったのではないかと思う。もしくは派手に暴れるために取れるロケ地がイタリアだけだったとか。本当にそれしか理由が思い浮かばないほどレッドスカルをイタリア人設定にしたのが謎過ぎる。妙に悲哀が籠もっているのも、キャラクターに深みを増してるとかは別にない。最後に小型核爆弾のスイッチみたいなのを持っていたが、無視して倒しちゃうキャップ。本当にその雑なラストでいいのか?

主演のキャップを演じたマット・サリンジャー、代表作が本作とデビュー作、ということらしいので何ともお察しな感じではあるが、なんとこの人、あの「ライ麦畑でつかまえて」のJDサリンジャーのご子息。JDサリンジャーもピチピチタイツの息子の勇姿を観賞したのかなあ。
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