のりまき

地獄の逃避行ののりまきのレビュー・感想・評価

地獄の逃避行(1973年製作の映画)
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20歳のいじめられっ子(チビ近眼ユダヤ人、ただし喧嘩強い)が15歳の少女と付き合うが、父親に反対されて州外へ逃走。途中殺人を繰り返す彼に少女は愛想をつかし一人投降。男も自らの車のタイヤを撃って投降した。これが元ネタの事件。
テレンス・マリックは敢えて32歳未だ無名のマーティン・シーンを起用。彼が「年だから」と辞退すると「役の年齢をあげるから問題ない」と一蹴し、年齢を25歳に設定した。
相手役は22歳これまた無名のシシー・スペイセク。見事にティーネイジャーを演じきり、その後「キャリー」で再び思春期の少女を演じ、その名を轟かせた。
2人の年齢が上がることにより、実際には場当たり的な無責任な事件が、大人の社会から逃避する若者という「時代を映した」作品となった。シシーのもの憂い、どこか達観したモノローグは稚拙さだけでなく、純粋さを漂わせ、彼らは無謀な甘ったれではなく、楽園を求めるアダムとイブのような存在に見えてくる。
絵画が動いているような美しい映像。監督は思い通りの光を求めてスケジュールを無視し、自らカメラを回すこともあったとか。その過酷さに逃げ出すスタッフも出たという。
小ネタとしては幼いエミリオとチャーリーがチラッと出ていること、役者が間に合わず監督本人が台詞まで喋る代役にたっていること。
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