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エリザベート2 若き皇后のodyssのレビュー・感想・評価

エリザベート2 若き皇后(1956年製作の映画)
3.5
【結婚直後のシシーを分かりやすく映画化】

「プリンセス・シシー」の続編。バイエルンの公爵家の娘だったエリーザベト(愛称シシー)が、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフと結婚してから、皇帝夫妻がハンガリー王位を兼ねる儀式を行うところまでを描いています。

シシーが結婚後、皇太后(夫の母)と折り合いが悪かったことはわりによく知られていますが、この映画でも皇后としての礼儀作法だとか、ワインではなくビールを好んだことだとか(皇太后にとってビールはいやしい飲物でした)、最後には第一子の養育をめぐって決定的に皇太后と対立する事件が分かりやすく描かれています。

舞台となるシェーンブルン宮殿も、最初に外観と庭園が出てきており、おそらく撮影にも実際の宮殿を使ったのでしょうが、臨場感満点です。内部装飾の豪華さなどは、日本人の中流階層の人間にはため息が出るばかり。

他方で、シシーがハンガリーびいきで、その点でも皇太后と対立していたことも有名であり、この映画でもハンガリーの伯爵をひいきにするなどの筋書きにたくみに織り込まれています。

結婚したばかりの頃のシシーを、事実に即してというよりは彼女が宮廷内で置かれていた立場を分かりやすい物語にして映画として提示することにこの作品は成功しています。ただし実際の彼女を多少美化しているようなところはありますが、映画は映画、事実を知りたければ本を読めばいいわけで、あまりその点にこだわるのは野暮でしょう。

ただ、「プリンセス・シシー」もそうでしたが、私には主演のロミー・シュナイダーがそれほどの美貌だとは思えない。当時のヨーロッパ宮廷で随一の美人と言われたシシーがロミーでいいのか、好みの問題ではありますが、やや疑問です。
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