エレスマン

グリズリーマンのエレスマンのレビュー・感想・評価

グリズリーマン(2005年製作の映画)
4.8
自分が認められる為には、死ぬしかないと思う と言う言葉に、全てが込められている。

彼は自分が何をしているかわかっていたが、引き返せなくなっていたのではないか。

それは何故かわからない。
アドレナリンを放出するたびに、その達成感が病み付きになったのかもしれないし、熊を人間を超越した存在として崇拝するうちに、薬やアルコールのように、依存してしまったのかもしれない。
俳優志望だった彼が、自分が名をあげて行く喜びがあったのかもしれないし、いろいろ理由があるのだろう。

熊との生活は、孤独、恐怖、緊張と、相当厳しいものであったと思うが、自分は、自然を守る勇者、政府や公園管理者、訪問者を自然を破壊する敵と捉えて対立することで、精神的バランスを保っていたのかもしれない。

実際に、彼の死後に公開された本作品で目にする、彼の撮影した映像は、彼でしか撮影出来ない迫力があり、偉業を成し遂げた事は事実だが、皮肉な事に、熊に対する恐怖を訴えるにも十分な作品となった。

熊と過ごすようになって長い年月がたち、彼自身が自分に課した掟が崩れ始め、キャンプ地に彼女と入る等、緊張感が薄れた事が、結果的に死期を早めたと思う。