木蘭

異常者の木蘭のレビュー・感想・評価

異常者(1998年製作の映画)
4.0
 統計会社の調査員であるヒロインが、婚約が破談になった心の隙間を埋めようと、興味本位でアクセスしたセックスサイトで出会った見ず知らずの相手とのチャットにのめり込んでいく中で、少しずつ生活が壊れていく物語。

 プロットを見るとスリラーなのですが、あくまでも軸足はヒロインの内証を描いた官能映画で、何度かスリラーに転換していくと見せかけつつも、官能映画から主軸を移さない所が魅力です。二転三転しながらエンディングに向かっていくサスペンスも良いですね。
 全体的に、ミステリー系のレディスコミックっぽいかな。

 一見、お安いエロ映画の様ですが、脚本が映画際で賞を取ったというだけあって、物語もチャンとしていますし、映像も(一寸やり過ぎな感もあるけれど)凝って撮られています。
 ヒロインがチャット相手に送ろうと、自分の体をポラロイドで写すのに、表情を付けてそろえた両足先を被写体にしてネットリと撮影を始める所などの演出は、女性監督らしいかなぁ。
 直接表現(ヌードやSEXシーン)は多くありませんが、官能表現はエロいです。
 安っぽいジャンル映画に陥りがちなシーンもありますが、踏みとどまれていて下品にならない演出が素晴らしいと思います。
木蘭

木蘭