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吸血鬼ノスフェラトゥのAONIのレビュー・感想・評価

吸血鬼ノスフェラトゥ(1922年製作の映画)
4.0
ムルナウ監督はマクス・シュレックという俳優を見つけたことで、既に作品の成功を確信しただろう。自ら棺桶を担いで移動する吸血鬼の「お引越し」には笑った。それにしてもヘルシング教授の見せ場が無いよ!!

ホラー映画には欠かせない「翳の恐怖」、カーテンをまくる風や荒波シーンを挿入する「恐怖のモンタージュ」表現も既に完成させているところに驚き!!悪魔の行動は倍速で表現するという、今見ると笑ってしまう所もご愛嬌。マクス・シュレックのドラキュラは、『帝都物語』の嶋田久作を見たとき以来のインパクトだった。

疫病ペストの流行&吸血鬼伝説を直接的に結びつけたストーリー展開が、情報に乏しい時代の人々が持つ、漠然とした不安&根本的な恐怖を表現できている。ドラキュラの下僕である爺様が群集から追い掛け回されるシーンは、集団心理の怖さを描いてるようにも思われ奥が深い。この当時のドイツ映画は間違いなく世界の映画界をリードしていた。

ヒロインであるニーナの写真を見たドラキュラ伯爵の名言

「美しい喉をしている」

には目から鱗。
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